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建築設計と映像制作

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デザイナーズマンションの曖昧な定義

デザイナーズマンションと聞いて、どんな部屋を思い浮かべますか?

建築家がデザインしたかっこいい部屋?

コンクリート打放しのクールな内装?

床壁天井からドアまで全て真っ白な部屋?

 

 

デザイナーズマンションって一体・・・

実際のところ「デザイナーズマンション」で検索してみると、どの物件もある一定の清潔感は保ちつつ、画一的でこれといった個性のない物件が数多く見受けられます。その中でも、ただ古い物件をフルリノベーションして一部にアクセントクロスを貼っただけだったり、これってデザイナーズマンションという括りに入れていいの?っていう物件も散見されます。

 

デザイナーズマンションというレッテル 

「デザイナーズ」というレッテルを貼ってしまえば「デザイナーズ」になってしまう状態。つまり「本当のデザイナーズマンション」とそうではない物件が混在してしまっている状態にあるといえます。不動産物件ポータルサイトからの部屋検索により、一昔前に比べれば格段に部屋を探しやすくなってきましたが、ただでさえ膨大な物件情報がある中で、自分が住みたい部屋にたどり着くまでが大変です。

 

例えば、情報量満載の旅行雑誌をいくら読んでも旅行のプランがなかなか決まらないのと同じで、選択肢が増えたからといって住みたい部屋が見つけやすくなるわけではありません。

 

空き家問題が騒がれている中にあっても、いまだに新築マンションやアパートが建てられていることを鑑みると、この状況はしばらく変わらないでしょう。

 

増え続けた原因

そうなってしまっている原因として、建物を設計している側の建築業界と、建物が出来上がってから部屋を貸す不動産業界との繋がりが希薄であるがために、まったく違った価値基準で解釈されてしまっているからです。

 

強いコンセプトを打ち出して企画、設計、建設されても、不動産業界における建物というのは、どれだけ収益をあげられるかという「収益物件」という扱い。それが転売(オーナーチェンジ)されればなおさら新築当初のコンセプトは希薄になって、誰がどんな思いで設計されたのかは全くと言っていいほど関係がなくなります。そんな状況の中で出回っている空室物件というのは、立地、築年数、面積、◯LDK、などといった事務的な情報により家賃が設定されます。

そして、募集する側が主観的に感じたことを頼りにセールストークを繰り広げるわけで、その中で「デザイナーズマンション」というレッテルが貼ってあった方が当然紹介しやすい。少しでも「かっこいい」とか「おしゃれ」と言える部分があれば「デザイナーズマンション」という括りに入れてしまおう。というわけでデザイナーズマンションがどんどん増えていきました。

 

本当の意味でのデザイナーズマンションがあるとすれば

そんな中においても「建築家の◯◯が設計」といったように、何年経っても名前が残り続けるような有名物件があります。そういった物件には設計者の明確なコンセプトと強い意志が建物に反映されております。

そこを紹介する仲介業者の方や、実際に住んでいる方が、それを"建物から"感じとり、そこでの生活が語り継がれていくものなんです。

 

建築家が語らずとも建物自身が語ってくれる物件というのが、本当の意味での「デザイナーズマンション」だと言えるでしょう。